
TTPとODx Innovation(本社インヴァネス、スコットランド) が共同で開発したのは、尿路感染症を検出し、さまざまな抗生物質に対する感染症の感受性を特定する表現型解析プラットフォームだ。10~20分間内に105 CFUの濃度で細菌感染を検出できることが実証され、60分で6種の一般的な抗生物質に対する感受性を判定する。
システムは、前臨床ベータユニットと消耗品の段階に進んでおり、幅広いサンプルで実証済み。本プラットフォームとIPのオーナーは現在、現在の開発段階から臨床へと導入するため、新たな協力者を開拓している段階だ。
尿路感染症は非常に多くの人々の健康に多大な影響をあたえている。これを迅速に検出し効果的な治療を提供するアプローチは、医療に大きく貢献し、最終的に抗生物質耐性菌の出現を抑える一助となる。
ODx 所有の検出技術は、元々はセントアンドリュース大学で開発され、サンプル内の細菌の増殖に関わる信号をモニタリングするものだ。TTPとODxではさらに、同じ入力サンプルを使って複数の抗生物質感受性を同時に測る技術を開発した。
この装置はサンプルを通過する光の散乱を時間の経過とともにモニタリングし、感染に関わる細菌の増殖を検出、最適な治療方針を決定する。カートリッジは充填のしやすい設計、地域に応じてさまざまな抗生物質のパネルと濃度を検査できる。
システムはシンプルでエンドユーザーに優しい。尿を充填し、カートリッジを装置に設置すると、サンプルは入念な流体制御によって自動的に浄化され、抗生物質があらかじめ充填されている個々のチャンバーに送られ、そこで経時的にモニタリングされる。処理された出力の例を以下のグラフに示す。
出力例1:このケースでは、UTIはシプロフロキサシンにのみ反応。


TTPとODxは数年をかけて、生物学やマイクロ流体工学、光学、ヒューマンファクター、エンジニアリングまでをカバーする多才なチームの緊密な協力を通じて、この検出技術を開発してきた。結果として得られたプラットフォームはさらに開発継続中であり、クリニックでの感染症の治療方法に変革をもたらすことが期待されている。
パフォーマンス
現在のシステムを、1,700を超えるヒトのサンプルでテストした結果、細菌の存在およびトリメトプリム、ホスホマイシン、ニトロフラントインに対する感受性について、セントラブラボの検査との一致率は95%以上であると確認できた。結果は通常60分以内に出る。


「これはUTIマネジメントの分野で真に革新的な製品となる可能性を持つ技術です。60分以内に治療のガイダンスを提供し、疾病をすばやく確認できる。世界中で緊急に必要とされているものです」
ジャイルズ・サンダース、体外診断開発トップ、TTP plc
「抗生物質耐性の問題に積極的に取り組んだシステムの開発は、感染症の診断と治療の方法を大きく変える可能性があって、きわめて取り組み甲斐があります」
ピアース・ハーディング、プログラム・マネージャー、TTP plc