ケーススタディ

Achilles Therapeutics 社向けに、パーソナライズド細胞治療製造用の拡張可能な GMP プラットフォームを構築

革新的な自家細胞治療の技術を持つAchilles Therapeutics(アキレス・セラピューティクス)社は、より多くのがん患者に治療を提供するため、TTP に製造規模拡大の支援を求めました。

背景

Achilles Therapeutics 社は、固形がん治療用の自家細胞治療の開発をリードする企業です。より多くの患者さんに治療を提供するため、手術室での腫瘍サンプル採取から、GMP(適正製造規範)施設で行われる治療薬の製造までをカバーする、拡張可能(スケーラブル)な製造システムを必要としていました。

ソリューション

これを実現するため、TTP は医療機器とヒューマンファクターの専門家、先進的治療法の製造に精通したスペシャリストを結集し、新しい腫瘍サンプル採取装置とベースステーションである NeoPOD® を開発しました。装置とステーションが連携して動き、全プロセスでクローズドシステムを維持しながら、統合された組織処理と下流生産への移行を実現します。

成果

臨床試験に NeoPOD® 装置を導入することで、製造コストを削減すると同時に、Achilles Therapeutics 社の画期的な細胞治療の規模拡大をはかり、より多くのがん患者さんが治療を受けられることになります。

特許取得済みの NeoPOD® プラットフォームのソリューションは、同社の将来的なニーズや複数の適応症のさまざまな要件に対応できるように設計されています。

「TTP はすばらしいパートナーです。私たちの専門知識を補い、ホワイトボード上のアイデアから機能するプロトタイプまで、設計を担ってくれました。TTP の支援のおかげで私たちは製造プロセスを拡大することができ、革新的な治療を実験室から患者さんの元に届けることができています。TTP のチームは、必要としている人々にこの治療を届けようと、私たちに負けないほどの情熱を傾けてくれました。」

ED Samuel

EVP Technical Operations、Achilles Therapeutics

がん患者さんに高度なパーソナライズ治療を提供するため、細胞治療の企業に必要なのは、拡張可能な製造ソリューションです。

通常は、患者さんの血液や組織のサンプルを新鮮なうちに、パーソナライズされた治療の製造施設まで輸送しなければなりません。これらの製品が薬事承認を得ても、何千人もの患者さんに向けた生産拡大をするには、サンプル管理が大きな問題をなり得ます。

Achilles Therapeutics 社の治療の場合、1 本の腫瘍サンプルを手動で調製するには、クリーンルームで 60 分以上かかる場合があります。また、手動による処理では、ばらつきが生じ、拡張した場合の製造コストが高くなります。

拡張可能なソリューション

TTP の ドラッグデリバリーコンサルティングチームは、Achilles Therapeutics 社と協力し、サンプル処理のためベンチトップ型ベースステーションに接続できるサンプル採取装置を含めた、統合製造システムを開発しました。この装置に蓋がされた瞬間から患者さんがパーソナライズした治療を受けるまで、閉鎖系製造プロセスになります。

GMP環境下で製造規模を拡大するためには、採取装置をベースステーションと簡単につなげられるようにするのがカギになります。TTP は、Achilles Therapeutics 社の GMP チームから得たエンドユーザーのフィードバックに基づき、効率的なチューブセット接続手順とシンプルで直感的に使用できる接続構造を設計しました。

この閉鎖型システムの構造は、ベストインクラスのユーザビリティ、シンプルさ、GMP への準拠が検証されています。厳しすぎるほどのアプローチは、組織サンプル処理技術の開発、実現可能性、検証テストを含む、大規模なプログラムの一環として行われました。

信頼性の設計

NeoPOD® システムは、貴重な腫瘍組織サンプルを保護し、組織の処理を自動化することで、GMP 生産と円滑に統合、手動のサンプル調製で起こりがちなばらつきをなくします。

Achilles Therapeutics 社の治療法に特有の要件を満たすため、NeoPOD® 製造システムのベースステーションは、腫瘍サンプルの処理を自動化・標準化する必要があります。

このため、TTP のエンジニアリングチームは、腫瘍組織の物理的特性の幅広い変化に対応し、組織に埋め込まれた腫瘍浸潤リンパ球の生存率を維持し、さまざまな固形腫瘍の適応症に合わせて設定できる新しい組織分離技術を開発しました。

TTP は、生体力学と流体力学の専門知識を駆使し、細胞にかかるせん断力を制限、最小組織断片の大きさを制御、生細胞数が比較的多い望ましい組織部分から不要な組織を分離することで、これらの困難な目標を達成するモジュール要素を設計しました。

ユーザビリティ重視の設計

ほとんどの臨床ユーザーにとって、自家細胞治療のために腫瘍サンプル採取するのは、なじみのない手順でしょう。サンプルの取り扱いを誤ると細胞の生存に影響するだけでなく、最終的には患者さんの命にかかわる要因にもなります。

TTP のヒューマンファクター・チームは、手術室で組織を採取して GMP 製造施設に輸送する外科医や看護師のニーズを把握するため、臨床ワークフローを評価しました。

よくある使用エラーや臨床上のリスクを軽減できるサンプル採取装置を設計するうえで、臨床ユーザーのニーズと期待を理解することは不可欠でした。

設計開発は、医療従事者による使用シミュレーションから得られた初期段階の考察を基に進められました。また、ユーザーテストから、製造業者の IEC 62366 ユーザビリティ設計書を裏づける、安全性と有効性、使いやすさに関する客観的エビデンスが得られました。

Achilles Therapeutics 社のミッションを伝える

NeoPOD® 製造システムは、「Achilles Therapeutics 社の画期的な治療法を支える、信頼できる革新的な製造システム」という本質が認識してもらえるようにも設計されています。

TTP の工業デザインチームは、システム関連製品全体でこのメッセージを伝えるため、調和のとれた有意義なデザインを実現するブランド・ランゲージを開発しました。その結果生まれたハードウェアのデザインは、優れた機能性を備えるだけでなく、ひと目でその技術的な洗練と治療の先進性を感じさせるものとなっています。

高度な細胞治療にアクセスしやすく

医療機器の設計開発と先進的な治療法の製造に関する TTP の専門知識に支えられ、Achilles Therapeutics 社は、製造コストを削減しながら信頼性(再現性)と拡張性を向上させる革新的なシステムを開発、その結果、より多くのがん患者さんに画期的な個別治療を提供できるようになりました。

TTP が開発したプラットフォーム技術により、Achilles Therapeutics 社はさまざまな組織処理の要件に対応できるようシステムを改良・適応させることが可能となり、臨床試験から商業化へ進む過程で、製造体制のさらなる自動化も実現できるようになります。

TTP は引き続き、Achilles Therapeutics 社の開発を支援していきます。

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